はいさい、ぐすーよー、ちゅうがなびら。みなさん、こんにちは。沖縄県知事の玉城デニーです。 「県民投票から1年~今問われるもの、問うべきもの」の開催にあたり、御挨拶を申し上げます。
 本日のシンポジウムを主催いただいております、実行委員会の皆様、そして本日お集まりの多くの皆様には、基地問題をはじめ、沖縄が抱える様々な分野の諸問題に対して、ご理解とご支援をいただき厚く御礼申し上げます。
 本日、2月24日で辺野古埋立に係る県民投票から1年を迎えました。辺野古新基地建設に反対する民意は、2度の県知事選挙や国政選挙など一連の選挙でも示されてきましたが、政府からは、「選挙は様々な施策で各候補の主張が行われた結果である」との発言がありました。
 このため、県民の中から、純粋な民意を示すためには、辺野古埋立てに絞って県民の意思を問うべきとの声が起こり、平成8年に全国初の県民投票が本県で行われたのに続き、2例目となる県民投票が県民からの直接請求により実施されました。
 全国で2例目となった県民投票が県内41市町村全てにおいて実施され、過半数の有権者が投票所に足を運んだ結果、投票総数の7割を超える圧倒的多数の辺野古埋立てに反対する県民の民意が初めて明確に示されたことについて、改めて大変重要な意義があるものと考えております。
 私は、県民投票の結果を受けて、県民投票条例の定めるところにより、直ちに安倍総理とヤング臨時代理大使に投票結果を通知するとともに、辺野古移設の断念と対話による解決を求めましたが、政府は、これを一顧だにせず、工事を強行しております。
 その後も、昨年4月の衆議院補欠選挙や昨年7月の参議院議員選挙のいずれにおいても、辺野古移設に反対する候補者が当選するなど、辺野古移設に反対する民意は繰り返し示され続けております。
 また、県がこれまで主張してきた軟弱地盤の存在による工事の長期化や予算の肥大化についても、政府自ら認めざるを得なくなり、辺野古移設では、普天間飛行場の1日も早い危険性の除去にはつながらないことも明らかになりました。
 それにもかかわらず、なりふり構わず強引に工事を推し進める政府の姿勢は民主主義のあり方そのものが問われる問題であります。
 今回の県民投票では、特に、若い方々が主体的に考え、行動したことで全国的にも注目され、県内だけでなく全国の皆様に対しても、辺野古移設問題を考えていただく大きな契機になったと考えております。
 辺野古新基地建設の即時中止と普天間基地の沖縄県外・国外移転について、国民的議論により民主主義及び憲法に基づき公正に解決すべきとする、新しい提案実行委員会の皆様方によって、全国の地方議会に陳情書の送付が行われるなどの取組が行われ、小金井市議会をはじめ、小平市議会、岩手県議会など本土の地方議会において、同陳情書等の可決又は採択がされており、それらの取組に呼応した共感の輪が広がりつつあることを力強く感じております。
 私は、辺野古新基地建設問題などについて国民的議論を行っていただくため、これまでに、東京、名古屋、大阪、札幌でトークキャラバンを実施し、それぞれの地域の皆様に、「自分ごと」として考えていただけるよう直接訴え、地元メディアを通じ広く呼びかけました。
 全国において沖縄の基地問題について議論が深まることは、普天間飛行場のみならず、沖縄における基地負担の軽減を図る上でも意義があるものと考えております。
 平成30年8月に県が行った埋立承認取消しを国土交通大臣が裁決で取り消したことに対し、現在、2件の訴訟を提起するなど、埋立工事を止めさせ、辺野古移設を断念させるために取り組んでおりますが、民投票から1年の節目を迎え、私は、辺野古に新基地は造らせないとの決意を新たにしております。
 今後とも、トークキャラバンや訪米活動等、様々な機会を通じ、国内外の皆様に、私たちの民主主義そのものが問われているということを訴えかけていくとともに、政府に対し、辺野古移設の断念と対話によって解決策を求める民主主義の姿勢を粘り強く求め、普天間飛行場の速やかな運用停止を含む1日も早い危険性の除去と同飛行場の県外・国外への移設を強く求めてまいります。
 あきらめず、ぶれることなく、県民投票で示された民意に応えられるよう、全身全霊で取り組んでまいります。シンポジウムにお集まりの皆様が、民主主義の尊厳や地方自治のあり方などについて、自らの問題として考え、互いの理解を深めるとともに、引き続き基地問題の解決のために行動を起こして頂くことを願い、挨拶といたします。

令和2年2月24日
沖縄県知事 玉城デニー


 令和2年2月24日に開催されたシンポジウム「県民投票から1年~今問われるもの、問うべきもの」に玉城デニー沖縄県知事から寄せられたメッセージ